SFファンなら今からでも遅くないから伊藤計劃を読むべき
SFファンに伊藤計劃を勧めるなんて今更過ぎるかと思いますが
まだ読んでない人もいるのではないでしょうか?
自分もその口でした。
受賞とかしてて気になってはいたんですが『虐殺器官』なんて妙に禍々しいタイトルで一歩引いてたけど、読んでみてすごく引きこまれました。これはまさにゼロ年代のSFの金字塔といっていい出来です。
夭逝してしまったので長編としては三作しかありません。
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/02/10
- メディア: 文庫
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- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 早川書房
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メタルギア ソリッド ガンズ オブ ザ パトリオット (角川文庫)
- 作者: 伊藤計劃
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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読む順番としては、メタルギアとかのゲームが好きなら『ガンズオブパトリオット』から入って『虐殺器官』、最後に『ハーモニー』
SF本読みの自覚が強いなら『虐殺器官』から入って『ハーモニー』、最後に『ガンズオブパトリオット』という順番がオススメです。
『ハーモニー』は一応『虐殺器官』の続編という形になってます。
『ガンズオブパトリオット』は『虐殺器官』と作品内のテクノロジーや雰囲気が似ていますが直接の繋がりは無いです。
ここから若干ネタバレになります
『虐殺器官』の見所
一発の核が核戦争の呼び水になったりしないで、「使う必要があったら核兵器が使われる世界」ってのは今後リアルで有りそうです。
- ナノマシンによる生体認証
『虐殺器官』を始め伊藤計劃の作品ではナノマシンがちょくちょく出てきます。増えすぎた人口を適切に管理するために国民総背番号制度の導入し、生体認証の方法としてのナノマシン&各種管理サーバーによる個人の動向の監視ってのは近い将来本当に有りそうです。
- 虐殺の文法
機能まで仲良く暮らしていた隣人同士が殺しあうって設定は荒唐無稽とか言われますが、私はそうは思いません。
ルワンダ虐殺やユーゴスラビア紛争など、それまで仲良く暮らしてきた人たちが殺し合いを始めるケースってのは現実にあります。
せっかくなのでユーゴスラビア紛争の話を紹介(左にある「リンク」部分が本編へのリンクになってます)
戦争の体験談を語るわ まとめ - アットウィキ
これは一度目を通しておくべきです。
ゼロ年代の視点から、この世界の延長線上で近い将来本当に有り得そうな世界を描いているって所に衝撃を受けました。
『ハーモニー』の見所
ハーモニーではそれほど衝撃を受けなかったのでサラっと
人類が無理やり管理されているディストピアっていうのは結構あっても、ある程度、市民からの同意と要望に基づいているディストピアってのが目新しく感じました。
- 本文中に埋め込まれているマークアップ言語
ネタバレになるので詳しく言えませんがHTMLやXMLのようなマークアップ言語が本文中に散りばめられています。
面白いとは思うけどHTMLとかベタ打ちした経験がある人じゃないと理解しづらいんじゃないかと思う心配も。
『ガンズオブパトリオット』の見所
これもサラっと
メタルギアのノベライズだけあって、他の二作とは違い感情表現が豊かだなと感じました。
最後に載っている小島監督の話は涙無くして読めません。
生前の日記もあります
伊藤計劃:第弐位相
つくづく惜しい人をなくしたなぁと思わずにはいられません。